Nintendo Switchが発売されてから任天堂が3DSの後継機を出さないとか、常に考えているとか、いろんな話が出ているんですが、現実的に考えて出す可能性はかなり低いと思うので、そう考える理由をまとめてみました。
1.Nintendo Switchと市場が競合してしまう
これはまぁ、言うまでもないことじゃないかと思うんですが、任天堂はNintendo Switchを携帯機としても遊べるハードとして出しています。
3DSの後継機がどんな形になるかはわからないけれど、携帯機として出す限り、携帯機という部分に関してはNintendo Switchと完全に競合することになる。ゲーム機を携帯するにしても2台は明らかに負担で、どちらかしか持ち歩いてもらえない可能性が高い。
もちろん3DSには2画面であったり、すれ違い通信であったり、タッチペンであったり、カメラであったり、立体視は当てはまらないと思いますが(ぉぃ、多種多様な特徴があるのでそちらで攻める方法もある。
それでもどちらかしか持ち歩いてもらえない可能性があるというのは、新しいゲーム機を出す上では高いハードルであることは間違いない。
2.携帯機は海外で需要がない
これはデータを見た方がわかりやすい。
https://www.nintendo.co.jp/ir/finance/hard_soft/index.html
販売期間の関係などもあるので単純にはいえないが、3DSの世界販売台数はDSの半分以下、まだ需要が残ってることを考えれば最終的にはGBAくらいの販売台数になる可能性が高い。
販売台数の内訳をみると国内と米国、その他*1がどれも同じくらい。
当たり前だが、国内よりも米国やその他の方が市場規模は大きいので、国内と同じくらいということはそれだけ売れていないということになる。
ソフトの販売本数はより傾向が強くなっており、国内がいちばん多いのはもちろんだが、米国その他共に国内よりも2割程度販売本数が低い結果になっている。
いちばん悲惨なのがソフトリリースで、昨年度に米国でリリースされた3DSソフトの半分が任天堂ソフトとなっている*2。
OEMの中には国内サードパーティが海外で出したソフトもそれなりに含まれていることを考えれば、昨年度は海外のサードパーティは3DSでほとんどソフトを発売していないことがわかる。
つまり、海外において3DS市場にユーザーは一定数いるが、国内と比較すれば需要は小さく、海外独自のソフトはほとんどリリースされていない。
この辺りを考えると、3DSを続ける分にはリスクは少ないのだろうが、海外までターゲットに含めた上で後継機を出すとなると、何らかの新しい需要の掘り起こしをしないと成り立たない。少なくとも海外ユーザーを納得させる何かが必要になる。
3.新しい携帯機にまでソフトを供給する体力が任天堂にない
おそらく任天堂が3DSの後継機を出す気がないというか、出せないいちばんの理由がこれ。
いま任天堂はNintendo Switch、3DS、スマホと3つのハードにソフトを供給している。
ここに新ハードが出るとなると、4つのハードにソフトを供給する体制が必要になるが、任天堂に4つのハードに満足にソフトを供給するだけの体力はない。
3DSを発売した2011年以降は3DSとWiiUだけでも四苦八苦していたように見えたし*3、なおかつNintendo Switchのソフトを充実させる為に、WiiUを2016年の半ばで実質的に切り捨たりもした。
こんな状況に3DSの後継機を投入すれば、何処かに皺寄せがいって、ソフトの供給が減るのは予想がつく。3DSへのソフト供給を抑えられればいいが、Nintendo Switchやスマホに影響が出ると目も当てられない状況になりかねない。
Nintendo Switchが完全に軌道に乗り、任天堂が手を緩めても成り立つ状態になれば別だが、そういう風にならない限りは余裕がなくて、そこまで手を伸ばせないというのが実情ではないだろうか。
任天堂が3DSの後継機を出さない理由を書いてきたが、SONYもPS Vitaは開店休業状態で*4、後継機もおそらくない*5*6。そうすると携帯ゲーム機がこのまま終了になる可能性も高い。寂しいですが。
まぁ、ゲームボーイも末期にポケモンが出たことで一気に状況が変わって、ハードの息を吹き返したなんてこともあるので、これから何か2画面を使った画期的なゲームが出てきて、任天堂も後継機を作らざるを得ない状況になる可能性はあります。
ただ、逆にいえばそんな奇跡が起こらなければ、状況が変わることもないでしょう。この前のNintendo Spotlight E3でポケモン新作もNintendo Switchで出るとの発表がありましたし、この流れは変えられないと思います。
大枠の時代の流れとしては、携帯ゲーム機の文化はスマホやタブレットに回収されたということになるんでしょうし、だからこそ任天堂はスマホに進出した部分もあるんでしょう。
携帯ゲーム機が好きな身からすれば残念なところはありますが、3DSもまだ終わった訳ではないですし、Nintendo Switchもあります。もうしばらくは携帯ゲーム機の文化を楽しめるので、楽しめる限りは楽しんでいきたいと思います。
*1:記載されてないが、ほぼ欧州だと思われる
*2:但し、国内でサードパーティが開発と販売を行ったソフトの米国での販売を、任天堂が受け持った作品も多数含まれてると思われる
*3:完全な予想だけど、WiiU発売当初のソフト不足は、3DSが不振だったときに人員を3DSに集中させてしまった結果なんじゃないかと思ってる
*4:GRAVITY DAZEやダンガンロンパなどの有力IPがPS4に移行した上に、有力な新作ソフトはPS4などとのマルチばかり。なおかつSONYの吉田氏がこちらの記事でSONY本体はソフト開発をPS4とPS VRに集中していると発言している http://www.4gamer.net/games/999/G999903/20170615118/
*5:上記の3DSの後継機が出ない理由はほぼほぼPS Vitaにも当てはまるが、いずれも3DSよりも状況が悪い
*6:余談だが、PS Vitaが生産終了になるとユーザーが購入したゲームアーカイブの資産が使えるハードがなくなる(PS3など販売終了しているハードを使う場合を除く)。できればPS4に対応して欲しいところなのだが、どーするんだろう。PS nowとの関連もあるのでそちらの状況が変わらないと難しいだろうなぁ。