先日、Googleからクラウドゲームサービス、ストリーミングゲームサービスであるSTADIAが発表された。
具体的なサービス内容は発表されてないものの、提供されるスペックが発表通りであればゲーム業界の勢力図を塗り替える可能性がある。
発表を受けてSTADIA後のゲーム業界はどうなるんだろうと考えたのだが、任天堂に限っていえば影響は少ないんじゃないかと思ったので、その理由を書いてみる。
まずはゲーム業界の現状を整理してみよう。
任天堂は2017年にNintendo Switchを発売。他社ハードに比べて性能が劣る為にサードパーティのAAAソフトは発売されないものの、自社ソフトが高く評価されて順調に販売台数を増やしている。
SONYは2012年に発売したPS4の勢いが絶好調。最終的には1億台を超える見込み。現世代で最も販売台数が多く、たくさんのソフトが発売されている。来年以降に次世代機を発売予定。
Microsoftも2012年にXbox oneを発売。SONYのPS4に遅れをとっているが、状況としては大体似たようなもの。
そんな中で今年中にGoogleからSTADIAがローンチされると、任天堂を取り巻く環境はどう変化するのか。
いろいろ考えてみたけれど、任天堂を取り巻く環境は大して変わらない。STADIAのロンチで任天堂に危機が訪れると語る人はたくさん出てくるだろうけど、その危機は現在すでにあるものでしかない。
GoogleのSTADIAに性能が劣るからNintendo Switchが売れなくなるか。すでにSONYのPS4やMicrosoftのXbox oneに性能で劣っている。現状で販売は順調なのだから、STADIAのロンチで状況が特に悪くなるとは考えづらい。
Googleがサードパーティを囲い込むので作品が発売されなくなるか。現在でもNintendo SwitchでサードパーティのAAA作品がほとんど発売されないので何も変化はない(悲
STADIAに多くのユーザーが集中するのでユーザーがいなくなるか。そもそもNintendo Switch発売時点でSONYのPS4が圧倒的な販売台数を記録しており、ユーザーはPS4に集中していた。
その状況でNintendo Switchを出して巻き返しているのだから、STADIAが出ても殊更に状況が変わるとは考えづらい。むしろ2年間のアドバンテージがある分だけ有利とすら言える。
もちろんまったく何も影響はないかといえばそんなことはないだろう。
マルチで発売されているサードパーティの作品がSTADIAでも発売されるようになると、Nintendo Switchでの販売本数は減る可能性が高い*1。
また、STADIAは(発表の通りであれば)タブレットなどでも遊べるので、Nintendo Switchが担っていたその位置を奪われる可能性はあるだろう。
だからといって、それでどれだけ影響が出るかといえばそこまで大差ない気はする。
言うまでもないことだが、Nintendo Switchの最大の武器は任天堂のソフトであって、良くも悪くも任天堂のソフト目当てで売れている部分がある。
そう考えると、任天堂のソフトの魅力が大幅に落ちない限りは安泰なのではないか。
では、Nintendo Switchの販売は問題なく来年以降も伸び続けるのか。
そうなってくれれば万々歳なのだが、実際には来年度にはNintendo Switchの販売台数は落ちるだろう。
ただ、Nintendo Switchが発売してから3年目を迎えていたり、SONYやMicrosoftの次世代機が控えている以上はそれも想定されていたことで、STADIAが出ていなかったとしても同じ結果になっていた可能性が高い。
まとめるとGoogleのSTADIAがリリースされたとしても、任天堂の行方に然程影響があるとは考えづらい。
そもそもNintendo Switchは逆境の中で発売されて、逆境を跳ね返している。STADIAがリリースされたからといって、逆境は強くなるかもしれないが、大勢は変わらないと考えるのが自然だろう。
むしろ方向性や客層が似ているSONYやMicrosoftが直接的な影響を受ける可能性は高い。次世代機の発売を控えている状況なので尚更。そちらがどうなるかはわからない。
任天堂が直接的に影響を受けるとすれば、クラウドゲームの趨勢が決まった次世代機でのことだろう。
いろいろ書いてはみたものの、そもそもGoogleのSTADIAが成功するのかはわからない。クラウドゲームはSONYも、Microsoftも手を出してはいるものの成功していない分野だ。物量に勝るGoogleとはいえ、成功すると断言するのは難しいだろう。
ただ、任天堂に限っていえば、STADIAがどう転んだとしても趨勢に影響がないと思ったので、この記事を書いてみました。
考えてはみたけれど、Googleと求める市場が重なり、次世代機の発売時期もかぶるSONYやMicrosoftと違い、AAAソフトに対応しておらず、自社の独占ソフトが中心で、すでにハードを発売している任天堂では良くも悪くも相手にならないでしょう。
これからゲーム業界がどうなるかはわかりませんが、任天堂に限っていえばしばらくは今の位置をキープし続けるんじゃないかなーと思います。
さすがにNintendo Switchの次世代機となるとどうなるかわからないし、クラウドゲームが求められる可能性が高いから、他と組む可能性があるんじゃないかと思いますが、それはまた先の話。
GoogleのSTADIAがリリースされるといろいろ記事が出てくるでしょうけど、任天堂に関してはあんまり影響はないってのが私の結論です。信じるか信じないかはあなた次第だけど、参考にしていただければ幸い。それでは。
*1:尚、現在でもオクトパストラベラーやドラえもん のび太の牧場物語など、Nintendo SwitchとSTEAMでのマルチで販売を行う作品が出てきている。