2019年に見た映像作品の感想をまとめて書いてみる

 今年に見た映像作品の感想をまとめて出そうと思っていたのですが、出しそびれていたので短評形式でまとめて書きたいと思います。

 短評なので、あらすじとかは書かないでざっとの感想だけ。気になった方は各自で調べてください。

 

アンナチュラ

 去年に続いて年末年始に一挙再放送された中から評判が高かった作品を録画視聴。

 その評判の高さは前もって聞いていたけれど、前評判を飛び越える圧巻の出来。

 日本のドラマを腐す人たちはたくさんいるけど、まとめて批判するならこの作品を見てから判断すべきだし、この作品を見て面白くないのであればもう見なくていい。そう思ってしまう程の出来。

 全然ドラマなんて見ないのにも関わらず、そう思ってしまう程の質の高さ。素晴らしすぎるし、明らかに見る価値のある作品。

 今年も年末年始に再放送するらしいので、見ていない人は是非。これを見れば、日本のドラマはつまらない作品しかないとか、もう言えなくなるはず。

 

 劇場版シティーハンター 〈新宿プライベート・アイズ〉

 問題ありまくりの作品だがこれでいい。

 単純に作品としてみると脚本はボロボロだし、アクションの改善点もある、作中でも語られているコンプラ的な問題点もちらほら。これが完全新作のアニメであれば確実に落第点だっただろう。

 だが、この作品はこれでいいです。何故かといえば、シティーハンターの新作だから。

 老害の懐古趣味とか言われようが、その世代の人たちに向けてつくったんだもの。冴羽獠と牧村香が出てきて、キャッツアイまで勢揃いして活躍した日には、ある程度の問題点があってもありがとうございましたというしかないじゃない。

 ただ一点だけいうなら、現代を舞台にするのはいいにしても、現代の技術に媚びるのは止めて欲しかったかなぁ。ドローンあれだけ出す必要はないし、ドローンを活躍させるなら、人間をもっと出して欲しかった。

 いまの若い人にはどう映るかはわからないけど、当時をある程度知ってる身からすれば満足な作品。当時に好きだった人は見て思い出に浸ってみては。

 

プロメア

 評価が真っ二つに分かれた二郎系ラーメンのような作品。基本的にやってることは天元突破グレンラガンキルラキルとほぼ同じ。

 同じ味のする超絶こってりな作品を三度出されて、このこってりした作品が食べたかったんだ‼︎‼︎‼︎と思うか、こってりはお腹いっぱいなのでもういいですと思うか。

 ちなみに私は後者でした。作品の出来がいいのはわかるけど、キルラキルも中盤で挫折した人間なので、3度目の同じ味はお腹いっぱいです。

 それでも同じ味を求める人がいるのだから、triggerが劇場版オリジナル一作目にこの作品を出してきた判断は正しいし、まさしく名刺になる作品だから、私が経営者でもこれを出せと言ったと思う。

 こってりが好きな人はもう見てると思うけど、trigger作品をまだ見てない人は間違いなく見て損のない作品だと思います。是非に。

 

海獣の子供

 映画を評価する基準はたくさんあるけれど、こと映像美に限っていえばたくさん公開されたアニメ映画の中でも随一といえる作品。

 五十嵐大介さんの絵画のように描かれた漫画が原作の作品。ともすれば、これをアニメにするのは不可能ではないか、ハードルが高すぎるのではないかと思うのだけど、そのハードルをきっちり超えてきた。

 脚本にはいろいろ難はあるのだけれど、映像美だけでいえばピカイチだし、見る価値ありの作品。言葉では書けないから、とりあえず見て。

 

きみと、波にのれたら

 これほどまでに惜しい作品があるだろうか。作品を見てから落差に言葉が尽きなかった。それくらい惜しい作品。

 前半は最高。恋人たちの楽しい日々を湯浅政明監督の映像に載せて描き出す。その映像は今年のたくさんのアニメ映画の中でもいちばんといっていい出来で、まさに時代を代表する作品に出会ったと感動したもんです。

 特に中盤の主人公の2人の歌をバックに映像が流れるシーンは、2人の演者の特性を生かしてちゃんと歌を機能させつつ、本当に自然に恋人たちの関係性を見事に表現していて素晴らしすぎた。

 今年のアニメ映画の1シーンのベストを選ぶなら、絶対にこのシーンは入るだろうし、殿堂入りさせてもいいくらい。それくらい革新的に素晴らしすぎた。

 ただ後半は最低。評判が悪かった某アニメ映画2作品は見ていないとはいえ、今年の中でも最低レベルだろう。設定を何故かリアルに寄せたことで完全にダメになったし、どうしてそうなったのかはわからない。

 脚本は信頼できる方なので、おそらく金だけを出してる何もわかってない人が後半の展開にリアリティがないですよね?とケチつけて脚本がぐちゃぐちゃになったんじゃないかと思う。

 言っておきたい。アニメなんだからリアリティなんて要らないんだよ‼︎ 必要なのは説得力であって、リアリティはそれを補強する武器の一つでしかないの。この監督と脚本家なら傑作が出来たんだから、余計な口を挟むな。

 見て欲しい気持ちはあるけれど、後半がクソなのでオススメしにくい。後半が駄作とわかった上で、前半の傑作を見たいかたは見てください。前半は損はさせません。

 

天気の子

 この作品に関しては個人的な思い入れが強すぎて、公平に語れない。この作品の感想は超個人的な話になります。

 そもそも私は新海誠監督の『ほしのこえ』が大好きで、人生のベスト10に入るであろうくらいに好きな作品なんですよ。

 ただ、それ以降の作品は全部合わなくて何が評価されてるのか全然わからない。唯一ある程度面白かった『星を追う子供』も世間的には評判が悪くて、もう新海誠監督作品を楽しめることはないのかなとあきらめてた。

 もちろん『君の名は。』もおもしろさがわからなくて、『ほしのこえ 』は好きだし、新海誠監督が成功したことに「おめでとう」と言いたい気持ちはあれども、成功した作品自体のおもしろさがわからないもんだから奥歯に物が挟まった感じで「おめでとう」と言うしかなかった。

 そしたら天気の子はおもしろかったんですよ。まぁ、今回もダメだろうと思ってたら、序盤からおもしろくて、中盤以降はこのままおもしろくあってくれと祈りながら見てました。結果、最後までおもしろくて、3年越しに大好きな作品をつくった監督に心から大成功しておめでとうといえて本当に本当に嬉しかった。

 超個人的な感想になってしまって申し訳ないんですが、天気の子はおもしろかったです。間を開けて2度目の鑑賞もしましたがおもしろかったので、私にとっては間違いなくおもしろいんだと思います。客観的にはわかりません。すまん‼︎

 ただ一点だけ書いておくと、最後の主人公の選択が賛否両論になっているけど、これまで新海誠監督の主人公たちはセカイを守る為に自己犠牲をしてきた訳で、今回の作品ではそれが転換されたところに意味があると思うし、そこを把握して観ないとちゃんと意味を受け取れないんじゃないかと思う。

 ただ作品を楽しみたい人がそう思ってしまうのは当然だし、仕方ないけど、いちおうオタクを名乗ってたり、評論家だの、批評家だのを名乗る人にはそのくらいの文脈を把握して欲しいとは思った。

 

空の青さを知る人よ

 本当にもっと観られるべき作品。公開の初週に台風がきて少なくない映画館が休館になったことで、出だしを完全に挫かれてしまったのだけど、もっと観られるべきだった。

 この作品が特殊なのは年齢と性別が違う主人公が4人いること。同じ物語の中なのだけど、4人が4人ともに目的意識も、問題意識も違う。その中で各個撃破のように各性別、各年代に対してメッセージを打ち据えていく。

 おそらくこの作品は観る人の性別や、年代によって受け取り方も、感想も全然違うんじゃないかと思う。他の年代や性別に関してはわからんが、私に関してはがっつりと刺さった。

 実写映画ではときどき見る形式ではあるのだけど、アニメ映画でこの形式は珍しいような気がする。メッセージも含めて、次に進もうとしている作品だと思うので、観られて欲しかった気持ちが強い。この作品を観て、どう感じるのか、どう思うのかを知りたかった。

 超平和バスターズが次に進む一手になる作品なのは間違いないと思うので、気になる人は観て損はないと思います。

 

 覚えている中で、今年見た中で感想を書いておきたい映像作品は以上です。忘れているのがあったら、後で書き足します。

 ちなみに『この世界の(さらにいくつもの)片隅に』はまだ観ていません。年明けくらいには観に行こうと思っています。感想を書くかはわからんし、たぶん書きませんけどね。