※「SONYが考えているPS VRの戦略を予想してみる」のタイトルで掲載していた記事を、タイトルと一部を変更し、追記を加えた上で、上げなおしました(5/31)
PS VRが発売されてから半年が経ちました。
販売されると即日完売らしいんですが、そもそもの出荷台数が少ないので、ソフトがそれほど話題になることもなく。
話題になったのは、Rez Infiniteとバイオハザード7くらいでしょうか。
PS VRの発売前には、テック系のライターが絶対売れる、世の中を席巻するなんて記事を書いてるのも見たりしましたが、そんなことにはなっていません*1。
PS VRはPS以降のゲームの流れからは完全に離れたところから出てきた機器になります。そんな機器が一朝一夕で売れる訳もなく。
既存のゲームの流れから離れた新しいハードを売るためには3つの要因が必要だと思います。
会社にハードを売るための環境が整っていること
新しいハードを出したくても、魅力的なハードを開発するノウハウや製造ライン、資金力などが必要。
当たり前だけど、SONYはこの条件を満たしてる。問題は他。
魅力的なハードができていること
PS VRが魅力的なハードであるか。それはYESでもあり、NOでもある。
確かに現在発売されているVR HMDとしては安価で優秀。
ただ、どれだけ現在のVR HMDのラインナップのなかでは優秀でも、PS VRは一般に普及するには問題がある。
VR酔いする為にゲームを長時間プレイすることができなかったり、機器自体が重いので首に負担が掛かったり、錯視を引き起こす恐れがある為に12歳未満はプレイできなかったりとか。
もちろん値段の問題もある。PS VRは他のVR HMDと比較すれば安価でも、絶対的な価格で考えれば高額であることはいうまでもない。他のハードどころか、PS4すら買えてしまう値段なのだから。
他の機器よりいくら優秀でもPS VRをゲームの周辺機器として普及させるには高すぎるハードルがある。
魅力的なソフトがたくさん発売され続けること
PS VRはゲームを遊ぶ為に作られたハードである。だから、ソフトが必要になる。それもできるだけたくさん。いろんな種類のゲームが。
ただ、SONY本体はPS VRを出してもソフトを量産する体制は整っていない。
PS VRを買ったユーザーを本当に満足させるにはサードパーティの力が必要になる。でも、サードパーティにソフトをつくってもらうにしても限界があるし、そもそもVRで魅力的なソフトを製作するノウハウを持ち合わせていない。
必要なのはサードパーティが継続的に魅力的なソフトを出せるような体制。
まとめるとPS VRが一般に普及するにはまだまだハードルが高く、ソフトを供給するサードパーティにはノウハウがないので、魅力的なソフトを量産するのも難しい。
ただ、これは時間を掛ければ解決できる問題です。
いまはVR酔いが酷くて重いので長時間遊べないけど、PS VRの次世代機や次々世代機なら改善されるでしょう。錯視も研究が進めば回避する方法も見つかるかもしれない。
ソフト開発もそうです。いまは試行錯誤でゲームをつくっているけれど、時間を掛ければ上手いやり方や面白い表現方法が見つかるでしょう。
そうなれば安定してヒットするゲームが発売され続ける環境ができる可能性は高い。いまは問題が多いハードだけど、時間が経てば解決されていくはず。
そうなるには2,3年では無理。2020年以降にそういう条件が揃えば、大ヒットする可能性はある。
じゃあ、なんでPS VRを2016年に出したんだ。2020年以降に出せばよかったじゃないかという疑問は尤も。
でも、それだとノウハウが貯まらない。ハードは確かに進化するかもしれない。でも、ソフトはハードが発売されて、遊ぶ人がいて、市場での試行錯誤が伴わないと進化していかない。
うだうだ言わなくても、ハードさえヒットすれば、サードパーティは後から続々とついてくるよ!!!なんて思ってる人もいるかもしれません。
過去にはそんな形で大ヒットしたハードがありました。
ただ、そのハードでソフトをつくるノウハウがサードパーティにまで広まっていなかったばかりに、ハードメーカー以外からは魅力的なソフトがあまり出てこなくて失速したんです。
あえてハードの名前はいわないけど*2、同じ轍を踏まない為には急激な成長ではなく、長く緩やかな成長が必要になる。
長期的な視点でみると、サードパーティがVRの開発をどこまで本腰でやり続けてくれるかがいちばんの懸念点でしょう。
いまはVRブームだし、将来的な投資になると思ってるからソフトを出してくれているが、市場ができておらず利益が出ないものにどれだけ投資をし続けてくれるか。
ゲームセンターとか、他の方面からもVRへの賑わいが産まれれば、相乗効果は出てくるのだけども。
おそらくここから数年は技術の進化とSONYの体力の我慢比べになるでしょう。どちらが勝つかは神のみぞ汁。
折角、書き直したので追記をすると、
おそらくSONYがVR関連の施策として次に出してくるのはコントローラーかなぁ。
いまだとPS4のコントローラーと、PS Moveが対応してるけど、どちらもVR HMDの操作には問題がある。
PS4のコントローラーはHMDをつけていると、ボタンの配置などがわからなくなるので、初心者お断りになる。
いまのユーザーは、ほぼゲーマーだから問題ないけど、将来的にコンシューマのゲームをまったくしない一般のユーザーが入ってくると、ここが高いハードルになりそう。
SONYはPS Moveを推してるみたいだけど、あれも重いし、わざわざ2本も揃えるのは金額的に手間。そもそもあれはPS VRを想定して作られたものじゃない。
そこから考えると、次世代のPS VRの発表のときに新しいコントローラーを発表してくるんじゃないか。現在のコントローラーと同じ操作ができて、なおかつ直感的に遊ぶこともできるやつ。
おそらくこれを読んでる人なら、なんとなーく似たようなのが想像できるんじゃないかと思う。Nintendo SwitchのJoy-conとか、Oculus touchとか。
必要なことと、やりたいことを考えれば、SONYが出してくる新しいコントローラーはその2つを混ぜた感じのものになるんじゃないかなーとか思ったりします。
出してくるのはいつか。現世代のPS VRがまだ出たばかりであることを考えれば、今年や来年はさすがにないでしょう*3。
再来年と考えていくと、次のPS5と一緒に本格展開みたいなのも視野に入る。それだとコントローラーも同時に展開できるし、いろいろノウハウも貯まり、環境も整っている。
世代交代の時期を考えると、2020年頃の発売がありそうか。ちょうどPS3からPS4が7年だし、PS4発売の7年後。
問題はやはり、その頃までVRの機運が続いているかどうかだなぁ。しばらくは既存のゲームの流れの作品が売れるだろうけど、見たことがないゲームがたくさん出てくると盛り上がると思うので、そのときが楽しみです。