JUDGE EYESをクリアしたよ

 JUDGE EYESをクリアしました。龍が如くの経験を活かして、龍が如くスタジオが開発した完全新作。

 舞台は龍が如くと同じ神室町であるものの、元弁護士の探偵を主人公に据え、まったく新しい物語に挑戦しました。

 

 基本的なゲームシステムは龍が如く*1と同じ。

 神室町を舞台としたオープンワールドの中を、物語に従って東西南北に走り回る。その途中でたまにチンピラに絡まれるなんてこともありながら、物語を堪能していく。

 バトルシステムは龍が如く6で一度リセットされたりもしましたが、JUDGE EYESではほぼほぼ龍が如く0くらいに戻っています。

 つまりゲームの基本的な出来に関しては龍が如く印がついており、安心して遊べるレベルのものが保証されている。龍が如くでつちかった経験が見事に反映されていると言っていい。

 

 芸能人キャストの採用に関しても大成功だったと思います。主人公の木村拓哉さんはさすがの存在感で、木村さんが主人公でなければ、この作品が成立しなかったのは間違いない。

 他のキャストも活き活きしていて、龍が如くシリーズを含めて過去の作品でいちばん芸能人を採用した意味があった作品だと思います。

 その中で残念だったのがピエール瀧さんの降板。自分は新価格版で遊んだのですが、羽村ピエール瀧さんでないことを悔やんだことが何度もありました。

 最終的に新価格版で遊んだ身で言うのもなんですが、オリジナル版を手に入れて遊べる環境にあるのであれば、どーにかしてオリジナル版で遊んだ方が間違いなく楽しめると思います。

 

 物語は大きな欠点が散見されたものの、全体としてはメリハリが効いて楽しめました。

 龍が如くスタジオが任侠ものの縛りから解き放たれ、魅力的な主人公を手に入れるとここまで素晴らしい物語が描けるのだと感心しました。

 八神探偵事務所や源田法律事務所、松金組などの面々も魅力的で、探偵と弁護士とヤクザの世界観を上手くまとめ上げた気がします。

 ある意味では龍が如くシリーズよりも任侠ものを描いている部分もあって、その意味でも楽しむことが出来ます。

 龍が如くの手法を引き継ぐ演出や展開などは流石に上手いし、唸らされる部分も多々あるので、その部分だけでも遊ぶ価値はあるでしょう。

 

 ただ、龍が如くではあまり求められなかったけど、JUDGE EYESでは必要になる要素が致命的に弱い。

 特に謎を推理する部分が致命的。いちばん重要な事件の大枠を整理してまとめ上げていく部分が、事実を積み重ねて結論を導くのではなく、仮説を積み重ねて事実が明らかになったように見せかけているだけなので、どうしても消化不良感が残る。

 "ミステリ"ではなく"サスペンス"なので問題ないとの認識なのかもしれないが、いくらサスペンスでももう少し上手くまとめ上げるべきでしょう。

 リーガルを冠する作品にしてはあまりにもお粗末。序盤の羽村の裁判関連はその辺上手く出来ていたので、終盤も似た感じでやって欲しかった。

 時期的にもう遅いけれど、次回作があるなら龍が如くの第1作で馳星周さんをシナリオ監修に入れたように、法律ものに強いミステリ作家を監修に入れるべき*2

 

 あと、八神が不法侵入をするシーンが多すぎ。ヤクザの事務所など、相手側にも後ろ暗いところがある場所で問題にならないのはわかるけど、病院に大っぴらに不法侵入して逮捕までいかないのは流石に異様に映る。

 最後の最後の展開もなぁ。ラストシーンの場所をあそこにしたかったのはわかるけど、そこまでの展開が雑すぎる。ラ・マンでの戦いをバトルの最後にして、法廷で色んな人を追い詰めて終了でよかったんじゃないか。ただ、法廷劇ができるほどに論理が詰められてなかったからああいう終わり方をするしかなかったんだろう。

 龍が如くだと勢いでいけたものが、JUDGE EYESでは勢いよりも論理や法律が重要であることから大きい粗になっている部分が多い気がする。法を扱うなら論理は絶対的に重要なので、新作での改善を期待したい。

 

 バトルシステムは龍が如く印で楽しいのだけど、その他のチェイスバトルや尾行などのシステムがイマイチ。

 チェイスバトルは出来の悪いリズムゲームにしか見えないし、尾行は意地悪な部分が目立ってあまり楽しめなかった。

 龍が如くの長い歴史で洗練されたバトルシステムと比較するのは酷かもしれないけれど*3、もう少し練り上げて楽しめるものにして出して欲しかった。 

 

 すでに書いているけれど、龍が如くの資産を引き継げる部分は洗練されているのだけど、新しく追加したものがその品質に追いついていない印象が強い。

 それでも腐っても龍が如くスタジオなので十分に楽しめる作品に仕上がっているし、謎の解明の部分でモヤっとした人が多くいたとしても、全体として不満を持つ人は少ないんじゃないか。

 遊んでない人も多くいる作品だとは思いますが、龍が如くシリーズよりも多くの人に受け入れられそうな内容ですし、特に限界まで値下がりした現在なら買って損はない作品になっていると思います。

 未プレイで何か新しいゲームを遊びたい人がいれば、是非とも手に取ってみることをオススメします。

 

 

*1:ここで龍が如くと書く際は特に記載がなければ桐生一馬主人公の作品を指しています。

*2:JUDGE EYES発表時の感想でまったく同じことを書いてた。 http://tekitougame222.hatenablog.com/entry/2018/09/11/000037

*3:チェイスバトルも何気に龍が如く3からあるのだが、龍が如く3チェイスバトルが激ムズすぎたんだよなぁ。そこから何度かシリーズに追加されることがあるものの、簡単にはなったが面白さを洗練させる方向には行けてない印象がある。