ロストジャッジメントをクリアしたよ

 ロストジャッジメントをクリアしました。 

 龍が如くスタジオ作品の中でもいちばんの傑作になるかと思ったんだけどなぁ。途中までは非常に面白かったんだけど、終盤が残念だった。

 

 基本的なシステムは前作から順当進化。前作の感想で課題としていた部分はあらかた改善されている。

 前作の感想で面白くないと書いていたチェイスバトルと尾行は、何をやってはダメかをわかりやすくすることで、ゲームとして非常に楽しみやすいものに改善された。

 物語もきっちり論理立てて展開されているし、仮説を立てたときもそのまま突っ走るんじゃなくて、きっちり裏付けをとってから先に進む丁寧さがあって、ミステリを描くことにちゃんと向き合っていると感じた。

 全体的に前作の良さを引き継ぎつつ、駄目だった部分を改善して、龍が如くだけではないジャッジアイズの面白さを出せるようになってきた。

 

 ストーリーは賛否両論なんじゃないかなぁ。冒頭でも書いた通り、私は終盤が非常に残念でした。

 序盤から中盤は非常に面白く、学校に侵入する部分でリアリティが足りないかなと感じましたが、逆にいえば気になったところはそれくらい。

 中盤では殺人事件にからむいじめ問題とその復讐の是非を描いていて、ここまで社会的ですごいものを出せるのかと感嘆したし、先が見たくてコントローラが離せなかった。

 ただ、終盤であるキャラの正体を追求する流れになると、一時的にいじめ問題が棚上げされ、いつもの龍が如くのような世界観になってしまう。

 いつもの龍が如くならそこまで積み上げたものがあるからわくわくできるのだけど、それまで積み上げたいじめ問題を棚上げにして、いままで全然語ってこなかった別の問題を語り始めたので白けてしまった。

 

 最後までいじめ問題は扱うのだけども、八神が語るいじめに対する復讐の問題点は同じ言葉の繰り返しで、正しい言い分ではあるのだけども説得力が足りないから心情的には江原たちに共感してしまう。

 また八神がいじめ問題とは直接的には関係ない話だけを語るから、八神がいじめ問題を軽視しているように見えるのもいただけない。

 途中で別の問題に逃げずに、最後までいじめ問題に立ち向かって結論を出していれば傑作と言っていい出来になったと思いますが、終盤で微妙な出来になってしまった。

 問題点はあれども、ジャッジアイズよりもよく出来てると思うし、ユースドラマも含めて楽しめる部分は多い。ただ、物語の主軸にしていたいじめ問題を最後まで貫けなかったのは残念でならない。

 

 本当に本当に残念な作品だと思います。どうして途中で主題であるいじめ問題を語ることを止めてしまったのか。いじめに向き合うのは大変だとは思うけれど、途中まできっちり描いてきたのだから、最後までテーマを貫き通して欲しかった。

 マジで中盤までは傑作なので、次回作では是非とも同じレベルでテーマに向かい合って欲しいし、最後までテーマから逃げないで欲しい。次回作に期待したい。

 

 

 

ここからはネタバレありの感想になります。事件の真相やラスボスまで含めて語るので、未プレイの方は読まないでください。

 

 

 

 

 ネタバレが解禁になったので、上で書き足りなかったことも具体的に書いてみる。

 終盤が残念なのは目的が相馬の正体に切り替わることもあるのだけれど、八神が澤先生の犠牲ばかりを語るのが何よりも残念なんだよなぁ。

 

 3人ともそれなりの覚悟で殺人を起こしている訳で、澤先生の事件で意志が揺らぎはするものの、翻意するとは思えない。それくらいで意志が変わるなら、そもそもあんな行動を起こしはしないだろう。

 もちろん澤先生の事件は大きな出来事ではあるのだけど、そもそも澤先生を殺したのはRKで3人の誰かが殺した訳ではないし、極論をいえば「次から気をつける。もうヘマはしない。」と言われれば話は終わりになる。

 八神が前作の経験からそう言ってるのはわかるけど、前作では犯人が巻き添えになった人も殺してたが、今作は別の人に殺された訳で、そういう意味でも3人への説得の要件としては弱い気がする。

 

 もしそういう物語展開にしたいのであれば、何処かで桑名にマジで八神を殺そうとさせて、いじめと関係がない部外者(八神)も殺そうとしたから桑名に既に正義はないとの展開にするとか。

 または設定ごと変わってしまうけれど、相馬が川井か御子柴の兄との設定にして、兄である相馬が桑名が弟を殺した犯人であることを知り桑名の命を狙うことから、復讐は恨みの連鎖が続くからいけないみたいな流れにした方が説得力があったんじゃないか。

 澤先生が亡くなったことを3人の落ち度と言うには説得力が弱すぎるし、3人の理屈を崩す為に別の論理を引っ張ってくるべきだった気がする。

 

 なんでこんな展開になったのかと考えたけど、スタッフ内で脚本を練り上げるときにいじめに関して議論をしたけれど、桑名を説得できるだけの意見が最後まで出てこなかったんじゃないかなぁ。

 それで最後の展開に悩んで、いじめ問題だけだと物語の規模が小さくなることもあり、相馬を公安に仕立て上げて、年金問題などもからませて規模を大きく見せて誤魔化すことにした。

 自分の予想通りならある意味いじめに真面目に取り組んだ結果でこうなった訳だけど、いじめは重大な問題だからこそ、きっちり物語に決着をつけて欲しかった気がする。

 

 本当、中盤までゲームの中に広く深くいじめ問題を浸透させて、ここまで社会問題を描くんだと感心しただけに、終盤の展開は本当に残念。

 すでに書いたけれど、次回作では最後までテーマから逃げずに描き上げて欲しいし、ロストジャッジメントをプレイする限り、龍が如くスタジオには間違いなくそれが出来るだけの実力があるはず。

 それをちゃんと出来るようになればスタジオの力が数段上がり、海外を含めた評価が上がるのは間違いない。龍が如くスタジオを一層発展させる為にも、よりテーマを深掘りし尽くした作品を期待しています。