十三機兵防衛圏をクリアしました。
年初に各所で話題になって、桜井政博さんが絶賛したとか電ファミの編集長が絶賛してたなんて話を聞いたので、夏頃に買って時間が出来たので最近プレイ。
確かに絶賛されるほどに重厚で濃密な作品ではあるんだけど、それだけに手が出しづらいというか、何も考えずに手を出すと序盤でお断りを喰らう。誰でも楽しめる作品というよりかは、かなり人を選ぶ知る人ぞ知る傑作だと思います。
この作品を遊ぶ際には最低土日の予定を空ける、出来れば3日以上はまとめて遊べる時間をつくるのを推奨。生半可な気持ちで始めると挫折します。
十三機兵防衛圏は基本的にはキャラクターの話を読む順番を選べるだけで、システム的には複雑な要素のないシンプルな作品ではある。
普通のアドベンチャーによくある分岐を間違えてやり直しとか、ルートが複数あるから何度もやらなきゃいけないとかは無いし、面倒くさい要素は出来る限り取り除いてある。
それくらいシンプルな作品なんだけど、その対象になるキャラクターが13人もいるもんだから一筋縄ではいかない。
13人の相互に絡み合う複雑な話を読み解かないといけないから、とにかく理解力と記憶力が問われまくる。個々のキャラクターや出来事、設定をちゃんと覚えないと置いてけぼりにされる。
さらには時間軸が複数あって、なおかつキャラクターも複数登場したりする*1。本当にちゃんと読む気でやらないとついていけないし、片手間で遊ぶと確実に訳がわからなくなる。
普段から数百ページのSFとか読みまくってて記憶力にも自信があるよ‼︎なんて人以外は、事前に時間をつくって、一気に遊ぶつもりでやった方がいい。
私のプレイ時間がだいたい30時間くらいなので、それくらいの時間を確保してから遊び始めることをオススメする。少なくとも序盤の10時間くらいは腰据えてやる気持ちの方がいいと思います。
物語の流れや詳細な設定解説をいちおう究明編で補足はしてくれてはいるのだけど、それを読んでても足りない部分はどうしてもあるので、その都度読むのは前提にした上で頼りすぎない方がいいかも。
ちゃんと遊ぶことが出来れば、極上のSF体験があることは保証します。13人もの物語をきっちりと書き分けて、複雑な設定も巧みに構成してまとめ上げた手腕は見事。
小説で出していれば、確実に何らかの賞を受賞していただろうし、ここまで複雑な話をここまでわかりやすく仕立て上げられる人は、本職の小説家でも数少ないんじゃないだろうか。
その上でSF的にもかなり凝った話を書いていて、いろんなエッセンスを重層的に楽しめる。エッセンスが多すぎるから、理解するハードルがめちゃくちゃ高くなっているのが困りものなのだけど。
SFわかんないよーという人でも、ジュブナイルの要素もたんまりと含まれているので13人の少年少女の冒険や恋愛面から楽しむこともできます。
この辺、どれか一つの要素でも1本作れるのに、それが何層も何層もあるからたまらない。設定も要素も重層化しすぎて、掘っても掘っても終わらない。
いろいろ脅すようなことも書いたけれど、ハードルが高いだけで面白さはお墨付きですし、今後ずーっと知る人ぞ知るゲームとして語り継がれる作品だと思います。
やるゲームがない、暇がある、たまには頭を使うゲームがやりたいなんて人はやってみて損はないと思います。理解するだけ、読み込むだけで頭を使いますが、最後まで辿り着ければ極上の作品であることは保証します。
今年に更新があって崩壊編もかなり遊びやすくなっているし、設定資料集も発売されたみたいなので、まだまだ遊ぶのは遅くないです。気になった方は是非。
*1:そら、13人もいるんだから複数いるだろ‼︎というもっともなツッコミをした人は、是非とも作品を遊んでその真の意味を知ろうな‼︎