春ゆきてレトロチカをプレイしたよ

 春ゆきてレトロチカをクリアしましたー。

 春ゆきてレトロチカをちゃんとプレイする為にPS5を買った私だからこそ言える。春ゆきてレトロチカはダメ。

 実写映像を扱うなどADV作品として革新的な箇所もあるし、仮説を前面に出したシステムなど褒める部分もあるにはあるんだけど、ダメな部分も数多い。

 

 まずもって実写部分が映像作品としてダメ。ミステリとしては面白くない訳じゃないんだけど、主人公を務める女優さんの演技が下手なので、全体的にダメになってる。

 ある程度名前が通っている若手の女優さんということで彼女を起用したのだろうけれど、作品の柱となるべき彼女がダメなので見れたもんじゃなくなってる。

 普通はあまり演技が出来ない役者さんを起用する場合は演出で演技不足を誤魔化すんだろうけど、それをしていないから余計に実力不足が目立つ。

 主役の彼女がほとんど前に出てこない場面がものすごく見応えがあったのが、かなり皮肉だった。

 

 どういうチームが実写部分を撮影したのかはわからないけれど、予算をケチらずにちゃんとした映像作品の撮影経験があるチームを起用すべきだったんじゃないかなぁ。

 いろいろ細かいところでダメなポイント*1が散見されて、ゲーム云々の前に根幹の実写部分が微妙と思ってしまった。

 エンドロールを見る限り海外にも売り出す気かもしれないけれど、さすがにこの映像を日本の代表として見られるのは恥ずかしいし、止めて欲しい。

 

 ゲーム部分はそこまで悪くはない。いや、とりわけ良くもないけど。

 よくあるミステリを扱ったADVながら、仮説をたくさん作って、プレイヤーの推理を導いていく形式で、探偵の思考を疑似体験しているようで面白かった。

 ただ、絶対に有り得ない仮説を作成させられることが往々にしてあり、煩雑な印象を受けたことも否めない。改善点は多々あるけれど、着眼点は面白かった。

 

 いちばん良かったのは物語かなぁ。こういうミステリのゲームだと、ユーザーに解決させなければいけない都合上、難易度調整がかなり難しいと思うんだけど、各話であっと驚く結末を仕込んでいて楽しめた。

 終話の結末は不老を扱った仕掛けがてんこ盛り。このゲームをやって、この部分を観ないのはもったいない。このゲームの面白かった部分の半分はここにあるとすら思う。

 

 意欲作ではあるのは認めるけど、実写部分の本気度が足りなくて残念だったに尽きる。次回作があるなら、システムを改善して実写部分を韓国や米国のスタッフに依頼したら、数倍面白い作品になって評判を呼びそう。

 スクエニは完全新作をたくさん出してきているのは本当にえらいと思うんだけど、いつも作り込みが足りなくて微妙との感想を聞くことが多い。この作品も御多分に洩れずにそんな感じ。

 そこまで長い作品ではないし新しい挑戦をしてるから、終章までプレイしたらとの条件付きで、インディーゲームくらいの値段で売られてたら遊んで損はないかもしれない。

*1:若い女性声優さんが思いっきりアニメ声でナイトクラブの歌手役をやってるのは笑ってしまった。どうせやるならもうちょっと場所の雰囲気であった声で演技をして欲しかった。演技自体はそこまで悪くなかっただけに残念。